森林に入ると何とも清々しい気分になりませんか?
森林へ行かずとも、新緑の季節、それも雨上がりの朝、玄関から外へ出ると知らずして深呼吸したりした経験ありませんか?
その香りの正体が「フィトンチッド」です。
「森林浴」とは、この「フィトンチッド」を浴びる行為を指します。
この森の香りこそが、私たちの生活を健康的で豊かなものにしてくれます。
具体的には、自律神経を安定させ、肝機能を改善し、快適な睡眠をもたらすなどが知られています。
森林では、悪臭の原因になると思われる動物の糞尿や死骸などがあるにも関わらず、常に爽やかな空気が広がっています。これは、悪臭を分解し、空気を浄化している証しです。さらには、朽ちた木には、キノコなどの菌が付きますが、立木には、滅多に付くことがありません。抗菌作用が働いていることが分かります。
土に根ざして生きる植物は、移動することができません。そのため外敵からの攻撃や刺激から身を守る術を備えています。その“術”が「フィトンチッド」です。
「フィトンチッド」の意味は、「フィトン」=「植物」「チッド」=「殺す」
だそうです。「殺す」とは穏やかではありませんが、植物によってその作用は様々です。他の植物への成長阻害作用、昆虫や動物に葉や樹を食べられないための摂食阻害作用、昆虫や微生物を忌避または誘引作用、病害菌に感染しないように働く抗菌または殺菌作用などがあげられます。
フィトンチッドは、針葉樹の房葉より多く放散されますが、天然乾燥された木材からも適量放散されます。
もみの木の家では、この効果の恩恵を受け様々な効用を授かっています。
何と言っても床板。柾目材を浮造り加工することによって得られた凸凹を素足で歩いた時の感触は、全ての人を虜にすること間違いありません。
建築業界に長年携わっていますが、これ以上の素材を見たこと、聞いたことがありません。弊社「樅の木の家」で体感することができます。
※浮造りとは、木材の柔らかい部分(夏目)を削り取り堅い(冬目)部分との凹凸を味わう加工様式を言います。一般的には視覚的に愉しみます。使用に耐えるためには、冬目の堅さが条件となるため樹種の選定に注意が必要となります。
木の香りは、大きく分けて二つあります。一つは樹木を特徴づける香り。ヒノキの香りとかスギの香りです。これらは細胞壁に固着しているので、木肌にキズを付けたときなどに感じられる香りです。
もう一つは、樹木が持つ化学物質が放散される際に感じる香りです。
住まいの中で常に感じられるのは後者の香りです。この香りは人の鈍化作用で感じられにくくなります。お客様等を迎えた際「木の香りがする」と言われる匂いです。
人工乾燥材の場合、後者の香りは無く、前者の香りが熱によって変化した“匂い”として漂います。この匂いは人工乾燥時の熱が高まるほどきつくなり、ダグラスファー(米松)やヒノキ等、元々特有な香りを持つ材ほど、顕著に表れる傾向が見受けられます。
「天然の木材」であればほぼ全ての樹種において少なからずの効果が期待できます。
天然の木材とは、植林とかではなく、実生であり、天然乾燥された木材のことです。
森の中での針葉樹は自らが放つ化学成分と、森に漂う悪臭とを結合させアミノ酸類を造り出す術を身に着けています。アミノ酸は生き物の生存に欠かせない栄養素です。針葉樹が備えている揮発成分の多くは、房葉から放散されますが木材からも発生するので悪臭があれば瞬時に結合して有益な成分に変化させてしまいます。
樅の木の家ではトイレの扉を開け放した方が消臭効果が高まります。
太陽の光が燦燦と降り注ぐ部屋は、誰もが理想とするところです。
しかし、その部屋の内装材によっては、光を乱反射させ、まぶしさを感じる部屋となってしまいます。
太陽光の中にはご存知のように、紫外線が含まれています。木材はこの紫外線の吸収力に優れ、紫外線の少ない光をやさしく反射します。
また、モミの柾目を浮造りした板は、光を鏡面反射することもなく、さらにやさしい光を演出します。
同じ木材であっても板目と柾目で違った光を作り出します。
山下工務店「もみの木の家」にて恒例となっていました、Xmasミニコンサート。狭い空間にも関わらず、管弦楽四重奏や弦楽器四重奏が成り立ちます。演奏者の声を伺うととても良い環境であるとお褒め頂けます。真冬に暖房なしですが皆さん靴を履かずに演奏されています。
フルートの演奏に関しては、空間の広さに不安がありましたが、問題なく演奏会が進行しました。そもそもモミの木やトウヒ(スプルス)の柾目材は、弦楽器やピアノの音響版として利用されている木です。内装材のほとんどがモミの木である「もみの木の家」では、家自体が楽器の一部と化しています。
かの有名なバイオリン、ストラスバリウスは、モミの木から作られていることが知られています。
ドイツ博物館に展示されていたグランドピアノ。
弦が張られていない状態なので音響版を良く見ることができます。
聞くところによるとグランドピアノの構成部材で一番高額になるのが音響版だそうです。
天然乾燥された木材は、周囲の環境によって含める湿気量を変化させます。
温度と湿度の関係によって木材が含むことができる湿気量が変わるということです。
その環境が乾燥していれば自らの水分を放出し加湿傾向にあれば吸湿してくれます。
言い変えると湿度が上がると吸湿して、湿度が下がると放湿すると言うことです。
天然の調湿機として働いてくれますが湿気を作り出すことは出来ません。適正な生活が行われての効果です。空気の乾きすぎには注意が必要です。
一年を通じ適切な湿気量を保つことが可能です。例えば24時間冷房運転した時、設定室温に安定するとドレン管からの結露水の排出はほぼなくなります。詳しくは「木のはなし」をご覧ください。
抗菌とは、有害な細菌の増殖を防ぐ効果であり、菌が付かないと言うことではありません。発生したカビの量、種類によってそれぞれの抗菌効果を判断できます。
抗酸化とは、酸化を防止すること。酸化とは、物が錆たり腐ったりすることです。抗酸化効果が働いていれば、同じ物が、錆にくかったり、腐りにくかったりします。
みかん2個、にんじん1本、バナナ1本をラップしてガムテープ貼り、高気密状態で観察します。
ベニヤフロアー
(ウレタン塗装)
もみの木床板
(植物塗装)
ナラ無垢材
(ウレタン塗装)
果物から出た水分で結露が多くなってきます。
水分が多くなり、白、青、ピンク色のカビが発生。
開封時、異様な悪臭とガス放出。
全てが「木材」と呼ばれている素材です。何を使用するかで大きな違いが生じます。気密が高い現代の住まいにおいて内装材の調湿の重要性がうかがい知れます。みかんは食べられたそうです。(フォレストバンク談)
一般的には、木材(針葉樹)の蓄熱効果は、水の1 / 7 と言われ、蓄熱材としては適さないとされています。
柾目のモミの木は、一年を通して一定の含水率を保つことでその環境の気温に同化するのではと考えています。
日々の生活で常識を覆す結果が得られることが本物の木を使用することの醍醐味だと思います。
断熱改修することなく内装にモミを使用しただけで、一年を通して冷暖房効果の向上を感じられ明らかに快適度が増したという声をいくつも頂いています。
暖房のない真冬の建築現場でモミが暖かいと感じることはありません。しかし立ち止まっているとその冷たさは緩和されます。素材の熱伝導率が低いことの効果です。